はじめての贈り物

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「──月冴ッ!」 「──ッ! ……こりゃ、いいトコ見せないとかな?」  タンッ──地を蹴り高く跳躍した月冴の、すらりと伸ばされた腕が陽に透けてきらりと輝く。トリコロールを模したバスケットボールが、緩やかな回転をかけながら彼の手を離れ、数メートル離れたゴールへと吸い寄せられるように弧を描いて──。  月冴が着地したのとほぼ同時だっただろうか……パスッ──軽やかな音と共にゴールインしたボールが重力に導かれ、そのままアスファルト地のコートへ落ちてくる。弱く弾み、やがてコロコロと転がってゴールの足場へぶつかると、静かに停止した。  一瞬の静寂──それを割いたのは子供達の歓声だった。 「すっげー!!」 「お兄ちゃんカッコイイ!」 「めっちゃ飛んだー!」  興奮冷めやらぬ状態で子供達が月冴を取り囲む。目の前でスーパープレイを見せつけられたのだ。一時的とはいえ、子供達にとって月冴はヒーローのようなものだろう。もっと色々な技を隠し持っているのではないか? そう疑う子供達から質問攻めにあいながらも根気よく対応する彼の姿を遠目に見つめていると、ふと、月冴がこちらを見た。    交わる視線──揺蕩う海のように澄み切った瑠璃色の瞳が、羞恥の色を含んだ眼差しで己を見る。  普段と違う彼を見るのも新鮮で、こういうのも悪くないと──そんな風に思えば自然と表情も緩むというもので。  思わず目尻を下げると、己を見続けていたままだった月冴も、困ったように──それでいて少しだけ嬉しそうにもう一度笑った。
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