はじめての贈り物

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「尚斗が俺のために選んでくれたってその気持ちがなにより嬉しい」  慈しむような眼差しでブレスレットを見つめていた月冴が、こちらを見てふにゃりと笑った。    その瞬間──自分の心臓がひとつ大きな脈を打つ。    彼と結ばれるまでには幾多の出来事があった。  時に傷つけて、時に泣かせて、散々心配もかけた。  けれど、なにがあろうと受け止めて揺らぐことなく想い続けてくれた──そんな彼のことがどうしようもなく愛おしい。  これから先、どれほどの想いを伝えていけばいいのか、どれだけの想いに応えていけばいいのか、見当もつかないけれど。  それでも──。  頬に手を添え、親指の腹でそっと撫でる。きめ細かくなめらかな肌──そこからじんわりと伝わる体温。 「……月冴」  この世で一番好きな人の名前を呼ぶ。  呼ばれたことで視線を向けた月冴の、淡く色づいた唇を触れるだけのキスで塞いでから、こつりと額同士を合わせた。 「な、おと……?」 「好き……好きだよ、月冴。……大好き」  自らの言葉に弾かれるように目の前の華奢な身体を抱きしめる。    月冴のことだけは、なにがあろうと失いたくない──そんな風に想う。おずおずと腕を伸ばした月冴も、こちらの身体を抱きしめ返してくる。 「俺も……尚斗のこと、大好き」  気恥ずかしさを含んだ声音で告げると、肩に額を寄せてきて俯いてしまった。
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