1995年6月

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1995年6月

 6月第1週の土曜日の夜、亮太とチャリで隣にある黒峰市(くろみねし)に出かけた。  バイクじゃないところが尾崎豊の『15の夜』とは違うところだ。 「自由になれた気がした〜13の夜〜♪」  亮太は鼻歌を歌ってる。  土手にやって来た。星がキラキラ煌めいてる。  🔥民家の近くに火が現れた。  最初、僕は誰かが火遊びでもしてるのかな?と思った。だが、火の近くには誰もいなかった。 「火の玉かな?」と、亮太。  鬼火、狐火などとも言われ混同されることがあるが、人魂は「人の体から抜け出た魂が飛ぶ姿」とされるものである。  余り高くないところを這うように飛んでいる。色は青白・橙・赤などで、尾を引くが、長さにも長短がある。昼間に見た例も少数ある。 「いやぁ、タマセじゃないか?」  人間が死ぬ2、3日前から体内から抜け出て、寺や縁の深い人のもとへ行き、雨戸や庭で大きな音を立てるというが、この音は縁の深い人にしか聞こえないという。    ゴォッ!ゴォッ!  また、28歳になるまでタマセを見なかった者には、夜道でタマセが「会いましょう、会いましょう」と言いながらやって来るので、28歳まで見たことがなくても見たふりをするという。  2日後、亮太が死んだ。  亮太は十文字病院って廃病院で死んでいた。かつて、医療ミスが起きて潰れたらしい。亮太は目玉をくり抜かれて死んでいた。  一つ目小僧の仕業かも知れないな?  昔の一つ目小僧は悪さをしないが、最近のは目玉を奪うために人間を殺すらしい。  亮太は左目だけを奪われていた。  猟銃を手にして廃病院にやって来た。  木戸がキィッ……キィッと軋む音がしている。「何かようかい?」血にまみれた手術服の男が近づいた。   片目は不自然に歪み、傷跡があった。  コイツが亮太を殺したんだ! 「亮太を返せ!」 「そいつは無理だ。俺にはまだ左腕がねぇ、オマエのでいいからソイツをよこせ」 「ウワァァッ!」  猟銃で妖怪を撃ち殺した。  👻残り17匹  6月8日 - 全仏オープンテニスで伊達公子が日本人選手初のベスト4進出、準決勝でアランチャ・サンチェスに 5-7, 3-6 で敗退  6月21日 - 羽田発函館行きの全日空機(ANA-857便)がハイジャックされる(全日空857便ハイジャック事件)。  6月26日 - マツダが『ボンゴフレンディ』を発売。
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