護堂先生の芋掘り怪綺譚

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 慌てて追いかけ、足の蔓を切ろうとするが、先程より動きが早くなり、蔓の太さも増している。 (この太さじゃ、手では無理だ……! 刃物なんて持っていないし、どうすれば……)  成す術ないまま、とりあえず引き摺られる西園寺先生を追いかけて行くと、少し開けた場所に、血のような色をした大きな木が立っていた。  そして、その根元には50代くらいの男性が座り込んでいる。 体にはしっかりと太い蔓が巻きついていた。 (もしかして、あれが中山さん家の息子さん!?)  蔓草はどうやらその木の根元から伸びて来ているらしかった。  西園寺先生はそのまま、幹の近くまで引き摺られていってしまう。  木の周りには、蔓が触手のように伸びており、これ以上近づけば、私まで取り込まれてしまうことは明白だった。 (一体どうすれば……?)  私が立ち尽くしていると、背後から聞き慣れた呑気な声が聞こえてくる。
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