護堂先生の芋掘り怪綺譚

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 芋掘りの下見に来て、まさか自分が植物に食われる状況に陥るとは思いもしなかった。 『さっきは助かりました。本当にありがとうございました……』  穴からしばらく離れたところで、私は少し落ち着きを取り戻し、西園寺先生を振り返って言った。 『No problem! 困った時はお互いサマデス!』  普段の言動は鼻に付くものの、根は普通に良い人なのかもしれないなと、思っていると、彼の肩から見覚えのある赤黒い葉が這い出してくる。 『ちょっ!?』 『何とか力を合わせて、帰りましょう! Let's do our best!』  西園寺先生が大袈裟にポーズをとると、肩の蔓は奇跡的に振り払われた。 (まさか……)  逃げ切ったと思っていたが、西園寺先生の足には、先程見た植物と同じ、赤黒い色をした蔓草が既に絡みついている。  もしかすると、思ったより広い範囲で、地面の下では繋がりあっているのかもしれない。 『西園寺先生、足に……!』 『?』 (ダメだ……! 彼には見えていない!)  忠告は効果を為さず、蔓草は西園寺先生の足を締め上げ、引っ張り始めた。 『Ooh!?』  バランスを崩した西園寺先生は、その場で倒れ、森の奥へ引き摺られて行ってしまう。 『西園寺先生!?』 『What happened!?』
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