護堂先生の芋掘り怪綺譚

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『いい感じに蒸し上がりましたよ!』  迷惑を掛けたお詫びにと、中山さんが沢山くれたさつまいもは、シンプルに蒸かし芋にして楽しむ事にした。 『あちち……!』  薄皮を剥いて、ひとくち齧る。ほくほくとした食感と、素朴な甘みが嬉しい。  蒸かし芋の食べ方については、「バターのせ」もおススメである。幼い頃、祖母に教わって初めてこの食べ方をした時は、あまりの美味しさに感動したのを覚えている。  温かいさつまいもの上で、とろりと溶けたバターと一緒に齧り付けば、甘さが引き立ち、バターのコクが口いっぱいに広がる。 『これは美味いな!』  神様も嬉しそうに頬張る。 『今回は神様のおかげで、こうして無事に帰って来られましたからね。沢山食べてください』  直接的ではなかったにせよ、神様の助言がなければ、私達の方が美味しく食べられているところだったのだ。 『大抵の人間は、己が食べられてしまう危機感なんぞ、持っておらんからな。今後はいつでも、自分が食べる側だと油断せんことじゃ!』  私は、バターを乗せたさつまいもを神様に差し出しながら思う。 (あなたにだけは言われたくない……)  人一倍食いしん坊の神様は、美味しそうにそれを頬張って、かかか!と愉快そうに笑った。  また、後日行われた芋掘り教室は、生徒全員で歌を歌いながら芋を掘るという、不思議な行事となった事を付け加えておく。
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