ねこのこい

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ねこのこい

私と彼女、彼女と私。  二人とも真っ白なノースリーブのワンピースを着ていて、それは絹で出来ていたから、二人は天女に見えないことはない。皺のよったワンピースからのぞく二人の体は、汗で濡れていたから、一仕事終えた田舎の若い娘にも見える。こうして、二人で汗を流すことはとても大切だった。お互いの体に、勤勉実直に働いて流した汗を見ると、二人の共同作業がお互いの心を耕して日光の下で育まれたような気持ちにさせた。 彼女が怜悧な目をこちらに向けて胸に吸い付くときは、井戸水で洗った取れたてのトマトを子供が齧るときみたいに無邪気である。 「もう一回するの?」 私は悶えながら彼女のワンピースの肩紐を下におろした。 すると、彼女は 「もういいの」 といって、私の手を優しくつかむと乳房を掴んでいた手で私の衣服を元通りに整えた。 「ふうん、ずいぶん気まぐれね」 私は疲れきった体を床に横たえた。 彼女はソファに座る。彼女は子供が高いブランコの上に座っている時ように足をぶらぶららさせている。ただのソファも彼女が座れば、ここは無邪気な遊び場なのである。 私は身を起こして彼女の肩をもんであげようと思い、彼女の背後に回って長い髪が彼女の肩にかかると、彼女は首を横に振った。首に違和感があるのがいやなのである、そして、それは、彼女がショートヘアである理由の一つなのかもしれない。 彼女が子猫のようにソファの上に丸くなって寝ると私も意識が澱んできて固い床に身をゆだねた。 ここはリゾートのロッジである。
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