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 サナエは自分の失態に気づくなり右に顔を背け、左手で横顔を隠しました。 「今更、隠したって無駄ですよ、それにそんな真似は冷たく受け取られるだけで何の得にもなりませんよ、ねえ、お顔をお見せなさいよ、私を誰だと思ってるんですか、失礼じゃないですか、ねえ、ケンちゃん!」  ケンキチはもう何も言えませんでした。 「いいです。一目見れば結構、さあ、では、とっくに済んでるでしょうから今日はこれにて引き揚げましょう。」  ヒカルゲンジはそう言って立ち上がりますと、正座した状態で蹲るサナエを横切って、すたすたと玄関の方へ廊下を渡ってゆきました。  ケンキチは一旦はヒカルゲンジを見送るため追っかけようと思いましたが、サナエへの愛おしさ故に蹲るサナエを抱き起こして、ひしと抱き締めました。
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