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「この度は結婚おめでとうと祝辞を述べておきますよ。」 「ヒカル様直々の御祝辞、誠に恐れ入ります。」 「何でもないですよ、こんなことは、ところでケンちゃんの結婚相手の方ですけどねえ、とても美人らしいじゃないですか。」 「いえ、とんでもございません。ヒカル様の姫君方に比べれば、月と鼈でございます。」 「何をおっしゃるうさぎさんってなものじゃないですか、ええ!ほんとにケンちゃん、村長として貫禄が付いてきたばかりでなく、すっかり言葉遣いが洗練されましたね、どこで覚えたんです?さしづめ奥さんとの蜜月の甘い語らいの中で覚えたんでがしょ、憎いよ、この!」 「い、いや、ヒカル様は相変わらずお口が達者でいらっしゃいます。」 「いえいえ、どういたしまして、いや、そんなことよりです、うちの侍者の間でも評判でしてねえ、寄ると触るとケンちゃんの奥さんの話題で持ち切りになるんですよ。私なぞもね、加わって聞いてみますと、肌は雪をも欺く白さなんて申しましてね、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花とこうくるじゃあござんせんか、ええ!そこで、どうです、お隠しにならないで、ここへ是非とも呼び寄せてくれませんか、ええ!」
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