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「ルー先生」
家の扉を開けると、ルー先生はいつも通り、白いキャンバスに向かって、ぼーっと座り込んでいた。
「ルー先生」
ぼくがそばによって、肩に手をおくと、やっとぼくの存在に気づいてくれる。
「やあ、またきたのか」
ルー先生はゆっくりとふり返りながら、ぼくにそう声をかける。
そして少しだけ微笑んだ。
「ちょうどよかった」
そういうとルー先生は、何がどこにあるかなんてさっぱりわからない、ぐちゃぐちゃとした部屋に手を伸ばす。
「絵の具をさがしていたんだよ」
「ああ、そういうことね」
ぼくはそういうと、ルー先生の右側、たくさんのデッサンと、絵の具と、そのほか色々な画材が山となっているところへと向かう。
「何色の絵の具?」
ぼくはルー先生に尋ねる。
「茶色と赤色だ」
それを聞いてぼくは、絵の具の山のへ、ずんずん登っていく。
「何色の茶色?」
ぼくがそう聞くと、
「少し薄目がいいねー」
そう応えるので、ぼくは、その絵の具の山の大量に存在する茶色を発見し、それを一気に手に取り、そして、赤色も発見し、とりあえず、たくさん手に取ってルー先生の元に戻った。
「これでいい?」
ぼくはそういいながら、ルー先生の足元に絵の具をどばどばと落とす。
その山をルー先生があさっていく。
「あー、これでいいねえ」
そういってルー先生は2色の絵の具を取り出した。
描く気になったようだ。
ぼくはルー先生のために、筆を洗うための水を用意してやる。こうしておけば、数日のうちに絵は完成している。そして、また高級な物資にありつくことができるだろう。
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