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第3話
そのサイトは常に流動的に画像が入れ替えられていたけれど、その日の更新は特に大規模なものだった。まるで大量仕入れと言わんばかりの刺激的な画像が画面を埋めていた。肌の色つやや肉付きから、ひとりの被写体であることは容易に想像される画像の羅列だった。
今までのトリミングされた画像では個人の特定は不可能だったが、今回に限っては個人情報が皆無というわけではないようだった。なぜなら特徴のあるスカートが、画像の端に写り込んでいたからである。
とある県立高校の制服なのではないか、と掲示板は騒ぎ立てた。目立たない平凡な中堅校ではあるが、夏季の制服に特徴がある学校だ。上は男女共に普通の白シャツなのだが、下が水色に近い明るいブルーのチェック柄なのである。
ちらりと写り込むそのスカートの布地は、犯人が再び行動を起こしたことを表していた。あれから十一年。被害者がまた出たということだ。間に餌食になった少女がいなかったという確証もない。
画面をスクロールすると、そこに時折目にする見慣れた画像を見つけた。四つん這いの白い太ももの裏に大きなほくろ。その上に丸いむき出しのお尻。中央が真っ赤に腫れている。それは生々しい張り手の痕跡である。
このサイトは犯人の自己顕示欲の発散の場なのであろう。狩人の中には、戦利品として獲物の角をコレクションしたり、頭部をはく製にして保管する者もいるという。そういった種類の悪趣味な写真館。ポインターが動きサイトを閉じる。後には美しい海の画像が壁紙として画面に広がる。
――さあ、始めよう。あの男が再び被害者を生み出したのなら後戻りする口実はもうない。このタイミングを天の采配というのだろう。戻らない、戻ってはならない。
死んだ西野比呂と新たに生まれた被害者。それだけではない。過去に遡って辱められた魂達を鎮める策略が今、静かに動き始める。
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