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「余計なお世話だ。鹿。」
「余計なお世話って事無いでしょ?!本当は『無』になる行為をしたのにも関わらず、わたしがお前の魂を生かしておける手段を、講じてた事を感謝しなさい。」
「はあ?」
ブンブーは、鼻の孔を蹄でポリポリと掻いた。
「なあお前、この電脳空間で鼻ほじくるなよ。
お前の生前の重大な悪行は、魂だけになっても消えないからな。」
「そんな事言われても知らん。」
「知らんって何だ!!豚舎の『豚コレラ』感染源が・・・」
「解ってる解ってる!俺が『豚コレラ』にかかって死んだんでしょ?前もお前さんが言ったじゃん。」
ブンブーは、大あくびをして仰向けになってリラックスした。
「何だ?その態度は?!そのお前の『豚コレラ』のせいで、人間の豚舎の中の豚達が全部門犠牲になったのに?!真面目に聞けよ!!」
「それもお前さんが話ししたんじゃ・・・えっ?!」
ブンブーは、ハッ!!として飛び起きた。
「その豚舎の中に、『』というブタ居たよな?!」
ブンブーは、ポリゴン身体の4本角の鹿の肩を抑えて揺さぶって叫んだ。
「そんな事言われても・・・今更・・・!!」
「やっぱり居たんだ!!俺・・・まさか取り返しのつかない事を・・・?!」
ブンブーは、蹄で頭を抱え込んだ。
「今頃気付いても遅いって!!」
・・・はっ・・・!!
ブンブーは今さっきの転生で、ガチャで逢ったランクが上位の自らと同じオークの姿の奴の事を思い出した。
・・・そうだぁ・・・!!
・・・あいつ、始めの転生世界で一緒に共闘した奴と似てたな・・・?!
・・・・・・ええっ・・・?!
突然ブンブーの脳裏には、生前のあらゆる記憶が逆戻しで次々と再生されてきた。。。。。。
・・・・・・
・・・・・・
ブンブーがまだ野生のイノシシ時代の事だった・・・
原因不明のだるさをに襲われた、孤独なイノシシのブンブー。
「僕と同じ匂いがする・・・」
その匂いを辿って向かっていくと、そこには豚舎があった。
「イノシシさん?あんた、イノシシさんでしょ?!」
豚舎の中からイノシシのブンブーを呼ぶ声がして振り向くと、1匹の雌ブタがニッコリして手招きしていた。
「君、だあれ?」
「私はブタの『P-3』よ。ほら?見えるでしょ?私の身体に『P-3』って!!」
「あっ!!『ぴーさん』本当だ!!背中に書いてある(イノシシのブンブーは字が読めないので、適当に答えた)」
「イノシシさんって本当に自由ね・・・」
ブンブーは、俯くブタの『ピーサン』の姿に胸がグッ!と締め付けられた。
・・・ほ、惚れた・・・
「私ね、ほら。『ストール』という柵に囚われて身動きが取れないのよ。だって雌ブタでしょ私。
子ブタを産む為に囚われてるのよ・・・」
・・・うっ・・・この悲しげな顔・・・
・・・胸がドキドキする・・・
ブンブーは、ある事を思い付いた。
「ねぇ、ブタさん。いや『ぴーさん』。
これから、この豚舎の外の話をいっぱい教えてあげるよ。」
「ホント?!教えて!!この柵の向こうはどうなってるの?!」
柵に顔を押し当てて、雌ブタのピーサンは目を輝かせてブンブーにせがんだ。
「うん。教えてあげる。」
イノシシのブンブーは、外では自分等の他にいろんな動物達がいる事や、この風景の奥には山や草原や川や沼がある事や・・・
事細やかに面白可笑しく、豚舎から出られないどころか束縛されるている身の雌ブタのピーサンに話してあげた・・・
「そうなの?!愉しそう!!」
そのイノシシの話す愉快な話に、今まで見せなかったような笑みを想いっきり投げ掛けた雌ブタのピーサン・・・
・・・・・・
・・・・・・
。。。。。。「ピーサン!!あの僕と同じ『オーク』!!正しく!!あの『オーク』はピーサンだ!!」
ブンブーは鼻の孔を孕ませ、毛を逆立てて叫んだ。
「鹿さん!!教えて!!」
「何だよいきなり?」
「この世界に、『ピーサン』という雌ブタ来ませんでしたか?!」
「そんな事知らないよ?だって、物理的に把握出来ないよ。誰がここに来たかとか・・・だって、夥しい数のブタが転生してきたんだよ?!
そんなにやって来たら、俺だってテンパるって!!」
「そこをなんとか・・・はっ?!」
ブンブーはトンでもない事に気付いた。
・・・僕は豚舎に近づいたせいで、豚舎の中のブタが全部『豚コレラ』とかいうやつに感染して死んだんだ・・・
・・・だとしたら・・・僕は『ピーサン』を・・・
ブンブーは頭を抱えて考え込んだ。
・・・あいつはそれでも俺の事を慕っているだろうか・・・?!
・・・そうならば・・・やはり逢いたい・・・
「そうだ!!鹿さん聞きたい事あるんだけど?」
「何だよ?」
「ここから自ら、『世界』に入り込む事出来るかなあ?」
「入り込んで何したいんだ?・・・まさか・・・おい!!」
4本角ポリゴン鹿のノバの制止を振り切って、猪突猛進の如く何処へと飛び去っていった。
「全く・・・どうなっても知らんぞ?俺。」
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