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「俺、ずっと考えていたんだ。このまま武也さんのお店をズルズル続けるだけでいいのかって」
「うん」
「此処に来た時はただひたすら歌也ちゃんを手に入れることしか考えていなかったけれど、今、歌也ちゃんとこういう関係になって、それじゃあこれから俺はどうしたらいいのかと考えた時、やっぱり何か勉強しなくちゃいけないと思ったんだ」
「……」
「だから俺は武也さんのお店を手伝いながら手に職をつけるために何かしらの資格を取りたいと思ったんだ」
「……そうなんだ」
龍が将来に関して真剣に考えていたことを知って嬉しくなった。
勿論、私もこのままでいいのかと思ったこともあったけれど、龍自身の気持ちが大切だと思ったから敢えて提言はしてこなかった。
(龍は自分でその考えに辿り着いたんだね)
「──ということで歌也ちゃん、どう思う?」
「どう思うって、私は龍がやりたいことなら賛成だよ。きっとお父さんもいいといってくれる」
「そうかな……」
「うん、頑張って。私、応援するから」
「……歌也ちゃん」
私の部屋のベッドの上でふたり並んで座って話している状況で龍は私の頬にチュッとキスした。
「くすぐったいよ」
「ん…。じゃあ口にしていい?」
「もっとくすぐったいよ」
「歌也ちゃん、好き」
「私も……好き」
家に誰もいないのをいいことに私たちはあっという間に甘い時間に突入した。
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