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私の父が夢見て目指していた本当のアイドルとは──女性アイドルだった。
そう私の父はお姫様願望を持った隠れゲイだった。
幼い頃からテレビ画面の中でフリッフリの可愛い衣装を着て歌い踊る女性アイドルに憧れ、なりたい! と思っていた父はその近道として普通の男性アイドルとして芸能界にデビューする事に成功した。
しかし芸能界という処はそんなに甘い世界ではなく、自分が望む行動が出来ないままデビューから4年。
とうとう我慢の限界が来た父は自分がゲイで本当は女性アイドルの様な格好や歌を歌いたいのだとカミングアウトしてしまった。
勿論当時の芸能界ではそんな父は異端児扱いされ、結果あっという間に芸能界から姿を消す事となった。
父の夢はあっけなく破れ、自暴自棄になり荒れた生活を送っていた父を救ってくれたのが幼馴染みの女性だった。
その女性は父の夢、性癖、全ての事情を知っていて、それを陰ながら応援してくれていた唯一の味方だった。
そんな彼女の励ましもあり父は徐々に立ち直り、新たな夢に向かって再出発する事が出来た。
その新たな夢とは自分自身が芸能事務所を起ち上げ、自分好みのアイドルを作り芸能界を席捲する事だった。
昔の芸能界では到底受け入られれなかった異色のアイドルを時期を見計らって売り出す事を夢見る傍ら喫茶店を経営しながら資金を貯め、理想の人材を探しつつ日々を送って来た。
そんな父の野望ともいえる夢が叶うまであと一歩というところまで来ていた。
今の芸能界ならきっと受け入れられ成功するだろうと踏んだ父は三人組のユニットアイドルを育成し始めた。
そして芸能活動をするにあたって事務所兼寮として改築した我が家にアイドル候補生の三人が居候する事になった──という流れだった。
ちなみに三人のうち既に同居している二人は父の御眼鏡に適った父と同類の人たちだった。
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