第三章 隠された存在

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「お父さんが作ろうとしているアイドルっていわゆるお母さんみたいな腐女子たちメインに受けるのを狙っているんでしょう?」 「まぁ、そればかりじゃないけどな。とっかかりはそこからだ」 「アニメファン……ですか?」 「アニメファンじゃないよ、腐女子だよ」 裕翔くんは父のやろうとしている方向性が解っているのか、いまいち解らないという顔をしている浬くんに説明していた。 (そうなんだよね…) 今の時代はBLと呼ばれるジャンルがあらゆる界隈で注目され盛り上がっている。 ごく普通の漫画やアニメなのにそこに登場する男の子たちを妄想でカップリングさせて勝手にBL仕様にしてしまうというジャンルが盛んなのだ。 だったら最初から既にBL仕様されているアイドルを出せばその手の人たちには受けるのではないかという算段だ。 (まぁ、実際は裕翔くんと浬くんは付き合っていないんだけれど) ふたりとも同性が恋愛対象ではあるけれど何故か裕翔くんの好きなタイプと浬くんの好きなタイプは異なっているらしい。 (詳しくは知らないんだけれど) 未だにわいわいやっている三人を横目にふと視界に入ったもうひとりを見て「あ」と声が出てしまった。
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