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「あの…先生も…。」
多分、先生なんだろうと、頭の花びらを見ながらようやくそれだけ言うと、その男性は笑顔のまま、髪をクシャクシャっと撫で回した。
「取れた?」
「いえ、まだ一枚…。」
そう言って私がおずおずと手を伸ばすと、高い背を縮めるようにして頭を近付けてくれた。花びらをつまむ時に触れてしまった男性の髪は、思っていたよりもずっと柔らかくてその感触でまた胸が締め付けられた。
「ありがとう。」
私はもうその時に、その屈託なく笑う男性に恋をしてしまっていたんたと思う。
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