わるいこと、ぜんぶ。番外編②

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「あー、これ?」 知花くんは、ポケットからネクタイを引き抜いて、目の前に掲げる。 綺麗に折りたたんでいるから、幸いなことに変なシワは付いていないみたい。 「俺、ネクタイ結べないんだよね」 「えっ、嘘……」 「嘘じゃなくて」 「だって、式典の時とかはちゃんとネクタイ結んでたじゃない」 「あの時は、友達にやってもらってたから。てか、よく知ってんね。そんなに俺のこと見てんの?」 「み、見てない……」 否定をしても、真っ赤な顔で言っている時点で説得力はないだろうけど。 嘘。本当は、見てる。 知花くんは、どこにいてもすぐ見つけてしまうから。 「ふーん。俺は、いつも見てるけど。雛子のこと」 「……」 知花くんが首をかしげて不思議そうに私の顔をみているのは、私が真っ赤な顔のままで頬を膨らませたから。 「知花くん、いつもそれ、わざとなの?」 「それって何?」 「もういい……」
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