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茶色に染まった髪の毛を指でかき分けると、生えぎわが焦げ茶色なのが見えた。
地毛は、まるっきりの黒じゃないんだ。
こまめに染めるのって、結構大変なんじゃないかな。
「今期も生徒会やることになったんだから、そろそろ校則守りなよ」
自分にも聞こえないくらいの囁き声で小言を言ったのに、まるで聞こえていたかのように、知花くんは「うーん……」と唸る。
あ、眉間にしわ寄ってる。
まさか、本当に聞こえてたのかな?
無防備に目を閉じている姿は、ちゃんと年下らしく見える。
いつもこうなら可愛いのに。
そう思うと、自然と口角が上がってしまう。
目を閉じている時でもないと、こんなに見つめられないし。
「会長……」
「え?」
知花くんの唇が動いて、自分が呼ばれたかと思い、つい反応してしまう。
今のは……寝言?
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