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というか、私のことじゃないよね。
今はもう、「会長」なんて呼ばないし。
それなら、今の生徒会長のことなんだろうな。
夢の中でも仕事をしてるとか……?
新しい生徒会、大変なのかな。
だから疲れて、眠いのかもしれないし。
そこにはもう、私はいない。
その事実に、少し寂しい気持ちになる。
ため息をついて、少し視線を移動させると、知花くんの制服のポケットから何か布が出ているのが見えた。
ポケットの裏地?
……じゃなくて、この柄はネクタイ?
何度言っても頑なにネクタイを結ぼうとしないくせに、持ち歩いてはいるんだ。変なの。
シーンと静まり返った空き教室に、知花くんの寝息だけが響く。
窓の外から聞こえてくる賑やかな声は、多分グラウンドで遊んでいる生徒たち。
私も、知花くんと話がしたいな……。
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