わるいこと、ぜんぶ。番外編②

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「会長とか何……。敬語だし」 いつまで生徒会の夢を見てるんだか。 ふたりでここにいるはずなのに、ひとりきりになったみたいで寂しい。 「あれ?あ、夢見てた。昔の」 昔の……夢? それなら、私を見て会長って呼ぶってことは、あの寝言も今の生徒会長じゃなくて……。 「何?昔の夢って。私が出てたってこと?」 「うん」 それはつまり、私の夢を……? 夢の中まで一緒だった。せっかくその事実に感動しかけたところだったのに、 「ピンクのブラ付けてたよ、会長」 それを全て台無しにする余計なひと言に、寝起きの頭にバチンと一発食らわせてしまった。 夢の中の私に何してるんだ、この人。 というか、さっきからその呼び方は、すごくムズムズする。 そう思えるほど、彼に「雛子」と呼ばれることは自然なことになっていたんだ。 「いつまでも会長とか呼ばないでよ」 「そっちだって、ずっと知花くんって呼ぶじゃん」 「う、うう……」 本当は眠っている時にこっそりと呼んでましたとは言えず、私は唸るばかり。 名前を呼ぼうとするだけで、恥ずかしくてどうしようもなくなるなんて。 「雛子」 そんな私を見てクスッと笑った知花くんは、大きな手のひらで私の頬に触れる。 「夢の中より可愛い」 やわらかく笑う顔が、こちらを見つめる。 「俺に恋してる顔が、一番可愛い」
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