わるいこと、ぜんぶ。番外編②

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ふとした時に、日常会話のようにすごいことを言ってくるから、心臓がもたない……。 胸に手を当てて、深呼吸。 まだ顔は熱いけど、そんなことを気にしていては、せっかくふたりきりでいる時間がもったいない。 「ちょうどいいから、この機会にネクタイの結び方覚えようよ。貸して」 知花くんからネクタイを受け取り、まずは開きっぱなしで中のTシャツが丸見えになったワイシャツのボタンをとめてあげる。 シャツ全開でネクタイをするなんて、絶対に格好悪い。 「えー、これ暑い」 「今だけ我慢してよ」 知花くんの不満を浴びながら、ネクタイを広げる。 大きなことを言ってはみたものの、私もネクタイの結び方は知らないから、スマホで検索。 背伸びをして、知花くんの前から首にネクタイを回して、輪っかを作る。 「次はこれに通して……、あ、違う、逆……。えーと……」 ネットに載っていたのは、自分の首にする時用の結び方で、目の前から人に結ぶ場合は反転して考えないといけないから難しい。 人がひとり言を言いながら手こずっているというのに、当の知花くんはそれをニコニコと眺めるだけ。
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