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ティッチィは飛び起きて、それから家の中心に立つ木をぐるりと回り込んだ。しかし、どれだけ探してもポルテの姿はなかった。
そこでティッチィは想像の羽を広げ、思考の世界へ飛び立った。ティッチィが降り立つと、そこは境界の真上だった。方や潤いが失われ、枯れ果てた大地がどこまでも広がっていた。境界を挟んだ向かい側には、色とりどりの花が咲き誇る楽園があった。ティッチィは先に楽園を覗いてみた。そこにはポルテとティッチィがいた。ポルテが幾らかの果物を抱えて家に戻ってきたところだった。
続いてティッチィは荒れた大地の方を見た。そこにもポルテとティッチィがいた。しかし、そこにいたのは二人だけではなかった。同族の大人達が数人、ポルテと共に家に入ってきたのだ。ポルテはティッチィを指差し、同族達に言う。
あれを、早く連れて帰ってくれ──
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