ありそうでなかった話

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つまり、城崎さんはそういう人なのだ。誰かのことを自然に褒めることができて、そこにはなんの計算も、見返りを求める気持ちもない。城崎さんにとっては、呼吸するのと同じくらい、人を褒めるのが当たり前なのだった。 それは、同じ職場で毎日を過ごしているとよくわかった。城崎さんが誰かを褒めない日はない。相手に直接言う時もあれば、いない人を褒める時もあるけれど、とにかく城崎さんは褒め上手だし、励まし上手だった。 人をよく見ているし、雰囲気を良くしてくれている、なんて城崎さんはオレを褒めてくれたけど、オレから言わせれば、それは間違いなく城崎さんの方だった。 そしてそれは、城崎さん以外の誰もが思っていることだと思う。
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