ありそうでなかった話

(ーーーーあ、まただ)

ある日、ふと気づいた。全員提出の書類や、何でもない配布物なんかにも、いつも必ず、「よろしくお願いします」とか「お疲れさまです」とかの一言が書かれた付箋を、貼ってくれる人がいることに。

その字は、すごく上手いというわけでもないけど、やわらかくてなんとなくあったかい感じがして、もらえるとちょっとうれしかった。だから、もらえるたび、ひそかにデスクの引き出しにとっておいた。
ちょっと元気がほしい時、なんとなく癒されたい時、そっと取り出して、ながめてみたりした。