切り札を握る者

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 僕は息を飲むと、伊藤を、そしていつの間にか隣に立っていた大森警部の顔を見た。彼らの目は真剣で、気が付けば部署そのものが静まり返っていた。  僕はゆっくりとメールを確認した。 【今、連絡をしてみたんだ。そうしたら…協力して下さるとおっしゃっていた!】  全身の力が一気に抜け、目じりに涙が浮かんだ。前進だ。大きな一歩を踏み出すことができた。  僕が頷くと、同僚たちもまた大きく安堵したようだ。  それから4時間後。神山警視長からメール連絡がきた。 【パスワードがわかった。これから、現地の人間に連絡する】  その15のパスワードは間もなく入力され、県内の家畜小屋は無事に再稼働を始めた。
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