石橋の日常

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 僕は石橋多武(いしばしたたけ)今年で27歳。階級は巡査部長だ。腕っぷしは弱く、警棒に振り回され、銃も的からきれいに外れ、上司から怒鳴られてばかりだった。  巡査部長の試験を一生懸命受けたのも、上司から怒鳴られるのが嫌だからというのが理由だ。  一方、伊藤は僕とは真逆だ。まだ少女のような婦警にも関わらず、素手はもちろん、腕っぷしも強く、銃の腕もベテラン顔負け。ただ、一つ欠点を言われてもらえば… 「石橋さん、お金を払えとか言われました…どうすればいいですか?!」 『ちょっと貸して』  僕はじっと見るとため息をついた。また例によってコンピュータウイルスを送り込んできた奴がいるのか。  僕は伊藤のパソコンをネットワークから外すと、素早く自分のパソコンとつなげ対処した。目には目を。ウイルスには対策を。その指裁きを耳にしたらしく、同僚たちが僕の周りに集まってきた。 「おお、出た…スーパーハッカー石橋!」  同僚たちも暇を持て余していたらしく、面白半分という様子で僕とウイルスの格闘を見物し始めた。学生時代にあるゲームにのめり込んだが、その時のことを思い出してしまう。
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