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事件発生
それから数日後。僕は別の事件の取り調べを行っていた。
事件は振り込め詐欺。この犯罪の説明はもはや不要だろう。犯人グループは巧みに自分の居場所を隠していたが、別の事件で閲覧していた防犯カメラに豪遊する連中が映っていたので、探りを入れてみたらあえなく御用となった。
犯人はお約束のように言い逃れをしようとしているので、六法全書やその他必要書類を手に、とても丁寧に法に触れていることを説明した。
「べ、弁護士を呼んでください!」
僕は小さく息を吐いた。なんで犯人は同じようなセリフを口にするのだろう。
取り調べを終え、休憩室で一息ついていたら大森警部が血相を変えて走ってきた。
「石橋、こんな所にいたのか!」
急にどうしたのだろう。先ほどまで警部は穏やかな顔をしていたはずだ。
『何かあったんですか?』
「本部長が…神山所長がお前を呼んでいる!」
『警視長が!?』
僕の全身からどっと汗が噴き出した。神山警視長は我が県警のトップ。毎日運転手付きの車で通勤するような人物だ。僕のような下っ端警察官では、お目にかかることすらできない。
何か、気に障ることでもしてしまっただろうか…
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