第1話【光明】

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 「あれ、私の言いたかったのは、この前街で見かけたって事だったんだけど……」  セツナさんはきょとんとした顔をしている。  「アナタ、男として、もう一度私達の仕事に対して熱意を語れるかしら?」  ミドリさんは表情を引き締めながら言った。  俺は首元のチョーカーを取り外し、一呼吸置いてから話し始めた。  「お、俺、いえ、私は自分に自信を持てない日々を送っていました。さっき言ったことに偽りはありません。存在が偽りですが……私は仕事で上手くいった事がないんです。便利屋でも上手くいくか分かりませんが、一生懸命働かせて下さい!お願いします!」  俺は立ち上がって頭を下げた。  「私は一目見た時から決めていました。アナタは採用よ!私にはこれがあるからね」  そう言ってミドリさんは自分の目を指差した。  「あ、ありがとうございます!」  俺の目元が揺れる。嬉しくてたまらなかった。 
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