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第3話【男の娘の災難】
俺、神恵が便利屋猫の手で働き始めて一週間が経っていた。
4月下旬の暑い陽射しが降り注いでいる。
朝8時、俺は家を出て、マウンテンバイクを走らせていた。猫の手に向かっているが、ふと前の職場の事を思い出す。いきなり飛び出してきたけど、雇用状態はどうなっているのか。さすがにクビになっているよな……。
今は猫の手での仕事が楽しくて仕方なかった。
疲れる事もあるけど、セツナさんを含めた従業員が優しいところは大事なポイントだ。
仕事の内容もそうだけど、人間関係は一番大事だよね。
事務所に着くと、美土里さんが出迎える。
デスクに見知らぬ女性が座っていた。
ミドリさんが言った。
「神君、紹介するわ。猫の手重労働担当、鬼舞朱雀。私の高校の時の同級生なのよ。足を痛めてて休んでいたけどもう大丈夫なのよね」
朱雀さんは、赤茶のショートロングの髪が外に飛び跳ねている。目元が涼やかで鼻にノーズクリップをしている。
デスクに座っているのに体が大きいのが分かる。ついでに胸もでかい。
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