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第七話 きっとおそらく確実に運命。 完
──ばらばらになってしまった紙片を丁寧に集めてつなぎ合わせた、恋文。
空白の文字を指でなぞる。
ここに入る言葉は、俺が幼い頃にとっくにもらっていたものだ。
下手くそな似顔絵。その中で俺は、とても幸せそうに笑っていた。
お前の好きは、俺が持ってた。
「おーいタマー、おやつの時間だぞー」
浮かれ調子の声は俺の愛する人のもの。
朝から大荷物抱えて引っ越してきた俺に、やっと一緒だとニマニマ笑っていた彼は、おやつの時間になっても浮かれたままだ。
俺は書きかけの手紙の上にペンを置いて、はやる気持ちを抑えずに立ち上がる。
「今行く、ポチ」
──出会いと別れの繰り返し。
間違いだらけの自分が泣きながら掴んだ唯一の答えを、もう迷わずに精一杯愛するために。
薬指の指輪にキスをして、俺の一番好きな人の元へ歩き出した。
〝Dear.奇跡信者〟
〝奇跡の出会いをふいにした愚かな俺が、もう一度恋しいお前に出会えたなら〟
〝それはもう、奇跡を超えた運命だろう。〟
〝From.運命信者〟
完
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