番外編①お付き合いのい・ろ・は

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「……ったく。アンタくらいだ、俺をこんなに振り回すのは。」 そう言って橘さんは私の腰に腕を回して引き寄せると、何度も軽いキスを繰り返す。何時になったら途中でほったらかされた千切りを再開できるのかしら? やっと離れたと思って橘さんの顔を見ると、彼の瞳が何かを言いたそうに私を見つめてる。多分そう…… 『いつまでも誤魔化されては、やらねえからな?』 彼はそう私に伝えてる。誤魔化そうとしている事なんて年上の彼にはバレバレだったわけね。こんな時やはり年の差や、経験の差を感じてしまう。私が必死になってることも、彼にどうって事ではないのだろう。 「これ、もうテーブルに持って行っていいか?」 返す言葉に困って無言になっている私のために、橘さんはすぐに話題を変えてくれる。付き合ってから、私たちの関係が少しでもぎこちなくなると気を使ってくれるのはいつも橘さんになっている。 「あ、お願いします。私はすぐにこっちを仕上げますから。」 私は急いで包丁を手に取り、止まっていた千切りを再開する。お皿に千切りキャベツを盛ると、プライパンからチキンの照り焼きを取って1つずつ並べて置いていく。 出来上がったおかずをテーブルに持って行くと、橘さんはご飯を装って持って来てくれる。ほら、ビックリするほど息はピッタリなの。老夫婦なんて言ったけれど、こういう所はそんなに嫌いじゃない。 2人で仲良く食事をしたら、片付けは橘さんがお皿を洗ってくれるので、私はお皿を拭く役目。私は食事中考えていたことがあり、それを今話そうと思ってる。 「あの……来週、2人が楽しめるデートをしたいです。あと大人のデートなんですけれど、これは「やっぱり今はいいです」って言ったら怒りますか?」 この言い方だと橘さんに誤解を生んでしまうかもしれないけれど、他の言い方を思いつかなかったの。
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