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しまった!いい気になって瑞樹君を褒めていたら、いつの間にか墓穴を掘っていたようだ。
「み、瑞樹君は前から憧れの存在で……」
嘘、ホントは恋愛対象だった。気持ちを伝えようとするといつの間にか躱されて、その理由が姉だったのだと最近知った。
「アンタの選んだ王子様は透子さんの王子様だったわけだ。アンタこそ俺に偉そうな態度取るのは止めたら?」
ムッカーーー!!
何なのこの人?どうしてこんなに失礼な事が言えるの?
「アナタなんて、アナタなんて……大っ嫌い!!もう私帰ります!」
そう言って橘さんを置いて全力で走り出した。
大っ嫌いなんて……言い返す言葉が見つからなくて言ってしまったけれど本当に子供みたいね。
今日は運動靴で来ていてよかった。足には自信があるからもし橘さんが追いかけてきても逃げ切れると思ってた。
「捕まえた。」
今この時までは。
掴まれた右手と橘さんの顔を交互に見てしまう。追いかけてくる可能性は低いと思っていたし、追いつかれるなんて思いもしなかった。
「どうして……?」
「お前、チビのくせに脚はえぇな。今日は俺と回る約束だろーが。早速俺を置いて帰ろうとしてんじゃねえぞ?」
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