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缶の残りが少なくなったところで、姉と瑞樹君に遭遇した。
お姉ちゃんったら、ちゃっかり瑞樹くんに寄り添ったりしてるし……
「あれ?祥子はこんなところで何してるの?さっき橘さんが血眼になって探していたよ?」
瑞樹君の言葉にザッと血の気が引く。
やだ、ついついゆっくりしちゃってた。橘さん私がいない事に気付いちゃったんだ。
「あ、橘さん?祥子いたよ。うん、うん、そう、そこの右奥の自販機。」
いつの間にか瑞樹君が橘さんにスマホで情報を伝えてる!
「あ、あの…瑞樹君?」
「良かったね、祥子。橘さんすぐに来るって。じゃあ、僕たちは行くね。」
悪魔が余計な事だけして去っていったよ!
よし、逃げよう。もうこれしかない!ジュースの缶をゴミ箱に捨てバックを握り走る準備をする。
でも視界に入った人物に私の存在を気付かれ絶望した。
鬼の形相でこちらに向かってくる橘さんと目を合わせることは出来ない。逃げることも出来ない。
下を向く私の目に今日何度か目にした革靴が写る。橘さんって靴はお洒落ですね、なんて。
「おいコラ、クソガキ。俺になんか言うことはねえのかよ?」
ドスのきいた声で謝罪を要求してくる橘さん。本気で怒っているようですっごく怖い。
「ご、ごめんなさい。ちょっとお手洗いに行きたくて……。」
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