想い合えて、何よりも最高

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何のメッセージも無くこれだけ置いていくところが橘さんらしい。風邪の私が食べれるように気を使ってくれている所も。 会ってお礼を言わなきゃ……ううん。お礼なんて口実に過ぎない。私がただ橘さんに会いたいだけだ。 スマホをタップして橘さんへのメッセージを送る。彼からの返事の内容よりも大切なのは彼が今起きているかという事。数分で入ってきた「何?」という内容には返事をしないで、私はバスルームへと急いだ。 シャワーで念入りに汗を掻いた身体を洗って、髪を普段会社に行く時よりも丁寧にセットした。姉や瑞樹君以外に会うのにこんなに気を使ったことは無いかもしれない。 部屋に戻ると迷いながら服を選んだあと、少しでも大人っぽく見えるようにメイクをする。 準備が終わると階段を下りてリビングにいた母に声を掛ける。父がいれば送って貰えたかもしれないが、父は休日出勤で会社に行ったらしい。 「風邪だから大人しく寝てなさい」と、母に怒られてしまったが私はそのまま靴を履いて家の外に出た。 会いたいの。今すぐに会ってこの気持ちを伝えたい! 近くの駅から橘さんのアパートの最寄り駅までは乗り換えが必要になる。少しでも早く橘さんの傍に行きたいのに…… 電車の中で私は橘さんに会ったら何から話せばいいか必死でシュミレーションをしていた。言いたいことが沢山あるの。大事な事を伝えたいの。 乗り継いだ電車から降りて私は走り出す。ヒールの低い靴にしたけれど、少しだけ足は痛かった。だけど気持ちが急いて走らずにはいられない。 やっと着いた橘さんのアパート、だけど玄関には先客が。二つの大きなカバンを持った背の高くてきれいな女性が橘さんの腕を掴んでる。 ……ねえ、その女性とはどういう関係なんですか? 「……だからもう必要ないって電話で言っただろ?」
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