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「橘さんは良くても私は良くないんです。そんなことをしようとするのなら大人扱いなんてしてもらわなくて結構です!」
橘さんに大人扱いしてもらうのは身の危険を感じたので二度と頼まないことにした。
「キスしようとして突き飛ばされるのは初めてだ。ホント色気のねえガキだな。」
ええ、ええ。もうガキで結構です。ガキのままでいさせてください。
ぶつくさと文句を言いつつも速足で歩く私の隣を橘さんは歩いてる。
ふと全身が映る鏡に私と橘さんが並んで映った。ふと笑みが零れてしまう。
ああ、なんて似合わない二人なんだろう。
長身で顔だけはいい橘さんと、小さくて童顔の私。
本当だ。きっと橘さんの隣には背の高い美人が似合うだろう。
「何笑ってんだ、お前?」
橘さんが不思議そうに尋ねるから鏡を指さす。
「ほら、私達って中も外も合ってないですよね。一緒にいるのが不自然なほど。」
橘さんならきっと同意してくれると思ってたけれど、彼は何故だか考えこんでしまった。
「……アンタさ、透子さんと歩くときも友達と歩くときも容姿で合う、合わないを決める訳?オレは別にアンタといるのが不自然だなんて思っていないけど?」
こんな時だけ真面目に返すなんて卑怯じゃないの?さっきはあんな風にふざけていたくせに。
「お姉ちゃんや友達にはそんなこと思ったこと無かったです。橘さんとは……なんていうかあまりにも気が合わなくて何もかもが似合わなく見えてしまって……」
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