Epirogu

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Epirogu

「ホントに枕だけですね……凄い数。」 抱き合うのを止めて私たちはお姉さんの持って来て鞄を開けた。彼女の言っていた通り中身は全部枕。よくこんなに沢山の枕を用意出来たものだ。きっとお姉さんは橘さんの不眠が心配でここまでしているのだろう。悪戯好きかなとは思うけれど弟思いのいいお姉さんだと思う。 「アンタも欲しいなら好きなのを持って行けば?こんなにあったって処分に困るだけだ。」 そう言われてふと思いつく。いつか私もこの部屋に泊まる時が来るに違いない。その時に___ 「あの、この私用の枕を橘さんの寝室に置いておいてもいいですか……?」 気に入った色の枕を抱いて上目遣いに橘さんにおねだりをする。邪魔だって言われたらどうしよう。 「ったく、アンタがそういう事すると俺が大変だって分かれよな?」 そう言って顎を持たれてまた優しいキスをされる。何度か触れるうちにキスは深いものへと変わり、私は必死に橘さんの腕を掴んで答える。 橘さんが本気を出すと私はもういっぱいいっぱいになっちゃう。キスが濃厚で酸素が足りなくてクラクラしちゃうんです。 やっと解放されて息を大きく吸い込む。 「あー、マジで欲しい。」 私の肩に頭を埋めて橘さんはそう呟いた。欲しいのが私だと分かってしまって固まって動けない私と、私の答えを待ち続ける橘さん。 しばらく二人ともそのままで、結局私が正気に戻って逃げたことでお預けは続行されることとなった。         ―end―         2020/02/18 花吹
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