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「どっちともは、駄目なんですか?」
悩んで悩んでだけど答えが出ない。本当に狡い、こうして言ってしまったからにはどちらも連れて行くべきだと思うのに。
「どっちか一つだけ……と言いたいところだけれど。どっちもアンタはしたいだろうからな。ただ両方のデートをするには条件がある。」
橘さんは組んでいた腕を外して、私に向かって人差し指を立てる。
「条件って何ですか?普通はデートに条件なんて付けませんよ?もっと普通のカップルみたいにしましょうよ?」
私たちは付き合っていても、すぐに何かで張り合ってしまう。こういう事は私たちの中では当たり前になってしまっているようなの。
「他のカップルのことなんて知らねえよ。初めてのデートは、俺が提案した2人が楽しめるような事。で……大人のデートをするのは、アンタが俺のモノになっていいって覚悟が出来た時……その日は出来る限りアンタを大人の女扱いしてやるよ?」
「それって……そのデートの後って?」
「鈍いアンタだってそれくらい分かるだろ?ちゃんと覚悟を決めて外泊許可も取ってから言うんだな。」
要するに大人のデートは私が橘さんのものになる覚悟を決めてからでなくては連れて行ってくれないって事?
「私は初めから大人のデートがしたいって言ってたのに!」
そんな条件が付いてしまったら、いつになったら出来るか分からないじゃない!
「これくらいはしねえと、俺はいつまでもお預けを解除してもらえねえからな?アンタは良くても俺はそれなりに拷問に感じる時があんだよ。」
「はい?……拷問?」
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