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『ブロックとかふざけんなよ?今すぐ解除しねえと許さねえぞ。』
ハイハイ、許さないのならどうするんですか?別にもう会うこと無いんで怖くないですよ。
「どうぞ、ご自由に。次は返事しませんから。」
それだけを打って返す。この相手が瑞樹君なら喜んで返すけれど、橘さん相手に楽しくも無い話なんて続けたくなかった。
今度は聞きなれたメロディーと共に震えるスマホ。着信だわ……。
ディスプレイには予想通りの橘さん。メールでうんざりしているのに声まで聞かなきゃいけないのかしら?
放っておいても鳴り続けるしつこい着信に、私の方が根負けしてしまった。
「もしもし!しつこいんですけど!!」
「あ゛あ゛?お前が返事しないからだろうが!」
あら?電話の相手はチンピラだったのかしら?やけにドスの聞いた声を聞くと震えるどころか開き直ってしまった。
「私、枕なんて承諾してませんし?膝枕がして欲しいのなら他の女性をあたってくださいよ。沢山いるでしょう、橘さんに膝枕してあげたい女性は?」
「そりゃ、お前みたいなチビじゃなくて綺麗な女性が沢山って、お前の膝枕じゃねえと眠れ無いって言っただろうが!」
ノリノリで答えてるくせに、後半は私に怒る橘さん。もの凄く迷惑なんですけど?
「選び放題じゃないですか。私じゃなくても大丈夫ですね、それじゃ。」
「あ、おいっ!こら、チビ……」
何か言おうとしている橘さんを無視して電話を切った。そしてそのまま着信拒否。
あースッキリした。何度も光る着信通知を無視して私はお風呂に入ることにした。
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