呼び出されてとっても最悪

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「まさか……お姉ちゃんが私をだます日が来るとは思わなかったわ。瑞樹君の悪影響ね、そうに違いないわ。」 姉に連れてきてもらったパンケーキ店の中の一つのテーブル席に瑞樹君と背の高い男が座っている。 ああ、もう二度と見たくないと思っていたのにこんなに早く再会してしまうなんて悪夢のようだわ。 入ってきた私たちに気付いて手を振る瑞樹君と、こちらを見たと同時に立ち上がりこちらに向かってくる橘さん。 うっわ、笑顔の奥の怒りが隠しきれてませんから。姉はそれにすら気付かずニコニコしてるし、奥からは瑞樹君が面白がってニヤニヤしてる。 楽しみで可愛い姉妹に見られたくてしてきた可愛い恰好も全部無駄。幸せだった気分は一気にどん底。 俯いてると橘さんの履いているであろう黒い靴が目に入る。 「こんにちは、会いたかったですよ祥子さん。」 はあ、よく来たな、枕。の間違いでしょ。橘さんの顔を見る気も起きなくてただ早く帰りたい気分だった。 「……こんにちは、橘さん。」 やっとの気持ちで返事はしたけれど、もう何も言いたいことは無い。姉とのお出かけまでこの男は邪魔してくるんだ。最低じゃない。 「透子さん、俺祥子さんと少し話がしたいんであっちのテーブルに行きますね?」 そう言って橘さんは私の手を引いて連れて行く。普段なら抵抗するのだけどちょっと落ち込んでしまったのもあってされるがまま付いて行った。 デーブル席の奥の座席に座らされて、目の前に橘さんが座る。
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