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「おい、チビ。俺がわざわざ会いに来てやったってのに何だ、そのツラは?」
橘さんはそっちこそどうにかして欲しいと思うようような凶悪な顔で私を見てそういった。
「はあ…そうですか。」
真面目に返事をする事すら面倒くさい。私の貴重な日曜日の時間を返して欲しい。
お姉ちゃんと楽しみだったデートを返して欲しい。
「はあ…そうですか。じゃねえよ。さっきまで透子さんといた時は、あんなにご機嫌ですって顔してただろうが?」
「はあ…そうかもしれませんね。」
姉と一緒にいる楽しさ、喜びを橘さんといても感じれるわけないじゃない?
むしろ楽しみを奪われて、いま橘さんには怒りと悲しみしか浮かばない。
「俺と一緒にいるのが、いかにも不愉快ですってツラすんじゃねえって言ってるんだよ。」
貴方は何処の暴君ですか?私が面白くも無いのに何でニコニコ橘さんのご機嫌を取らなきゃなんないんですか?
「ハッキリ言って今の橘さんの存在は不愉快以外の何でもないですから。ニコニコ綺麗な女性が見たいんなら、そういうお店にでも行ってくださいよ。」
「お前は俺の存在から否定すんのかよ?俺はお前に会いに来ただけで、綺麗なお姉さんどうこうは一言も言ってねえよな?」
明らかに不機嫌具合が増した橘さん。よく見ると本当に寝不足なのか、目の下に隈が出来ている。
「私がこの日をどれだけこの日を楽しみにしていたなんて、橘さんには分からないでしょうね。私は今天国から地獄という言葉を実感している所なんです。」
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