呼び出されてとっても最悪

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「てめえは言わせておけば、どこまでも遠慮なく言いやがって……俺がどうしてここまで押しかけてきたのか分かってますよね?祥子さん?」 いきなり現れた橘さんの社会人とやらの顔にちょっとビビる。 橘さんは私に向けてこの顔を使うことはほとんどない。だからなのか橘さんの爽やかに見せかけた笑顔に背中がぶるりと震える。 「枕でしょう?枕くらい専門店で良いのを見つけるか、病院で睡眠薬でも処方してもらってくださいよ。」 橘さんの不眠の症状を知らない私は、彼のそれを甘く考えていたのだ。いつもよく眠れている私は不眠の人たちの苦しみを理解できていなかったんだ。 「枕なんて何万もするオーダーメイトでも駄目だった。病院にだって何度だって行ってるし、薬だって飲んでる。それでもまともに寝れるのは数時間なんだよ。」 「そう…何ですか。」 そういえば不眠から頭痛がするのか、橘さんはさっきからずっと頭を押さえている。 「でも、私にしてあげられることなんて無いですし。多分前のは具合が悪かったからたまたまだと思いますよ?」 だんだん調子が悪くなっているのか橘さんの声に覇気が無くなっていく。 「だからそれを確かめようと何度も連絡したんだろうが。それなのにラインは既読無視その上ブロック、ショートメールと着信は直ぐに着信拒否。こんなんされたら透子さんに頼んで来てもらうしかねえだろうが?」 もしかしたら私が思っていたよりも橘さんは限界が近かったのかもしれない。姉や瑞樹君たちにはこんな姿を見せられなかったのだろう。 弱ったところを見せられて、私の中の罪悪感と正義感が大騒ぎをしている。 助ける事が出来るのならば橘さんを助けてあげるべきだ、と。
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