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「本当は俺だってアンタが俺の事嫌ってるのも迷惑がってんのも分かってはいるんだ。だけどそんなアンタにだって頼りたいくらいに俺も参っているのは本当なんだよ。」
ズキズキズキズキ……ラインや着信をずっと無視したことで橘さんをこんな風に困らせてるなんて思わなかった。
こんなに仲の悪い私に頼みたいって言っているのだから、橘さんは本当に辛かったのだろう。でも……
「そんなことならもっと普通に頼んでくれればよかったじゃないですか?あんな偉そうな態度じゃ、そんなに困ってるなんて思わないじゃない……」
それだったら私だって考えたかもしれない。話くらい聞いてあげたかもしれないのに。
「何でだろうな?アンタにしか見せれない弱みなのに、アンタに弱い所は見せたくねえの。……本当に何でだろうな?」
私にそんなこと分かる訳ないじゃない。
確かに年下の生意気なチビの私に弱みを見せることは、プライドの高い橘さんには苦痛だったのかもしれない。
でも橘さんが私にしか見せれない弱みだと言ってくれたことが、彼がほんの少し私に心を開いてくれている様で嬉しくもあった。
「だから、一度だけでいいから試させてくれねえか?この前のが偶然なのかどうかを?」
これで駄目だったら、少し希望を持っている橘さんをガッカリさせる事になるのではないかしら?そんな不安も私の中には生まれる。
助けてあげたい。だけど助けてあげれなかったらどうしよう?
……ええい!その時はそのその時よ!二人でアイデアを出し合えばいいんだわ。
「分かりました。私も橘さんが苦しむのを楽しみたい訳じゃないので。……枕になってあげますよ。」
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