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「じゃあ祥子さんお借りしますね?」
四人が合流した途端橘さんは私を連れて行こうとする。そんなに眠りたいですか、そうですか。
「橘さん。祥子は僕たちにとって可愛い妹だからね?祥子に何かしたら僕たちが許さないからそこのトコ忘れないでよ?あと9時には家に帰す事。よろしくね。」
瑞樹君はいつからか私の保護者になったようだ。高校生のような門限に笑ってしまいそうになる。私も一応社会人なんだけれどなあ。
枕は何かするにはいるのかしら?私に中では微妙だけれど、橘さんにとっては手を繋ぐくらいの感覚かしらね?
「分かってますって。後で綿貫君が怖いから何もしませんよ。家にもちゃんと送り届けるのでご心配なく。」
橘さんは笑顔で対応しているけれど、私の手を掴む力が強い。きっとまた酷く頭痛がしているのだろう。
「私は大丈夫だから、瑞樹君はお姉ちゃんをよろしく。さ、橘さん行こう?」
早く休ませてあげたくて、橘さんを駅の方向に連れて行く。このまま動けなくなるようなら最悪カラオケボックスででも休ませるつもりだった。
普段の橘さんには何もしてあげたいなんて思わないのに、弱っている所を見ると助けてあげたくなるから不思議だ。
「チビ、そっちじゃねえよ。こっちの駐車場だ。」
引っ張る私を引き止めて、橘さんはポケットからジャラリと車の鍵を取り出す。
「橘さん頭痛いんですよね?運転なんて出来るんですか?」
私を巻き込んで事故を起こされたら困るんですけど?私は80歳まで生きるつもりなので。
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