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「馬鹿ガキ。車の中ならちょっと休めるだろうが。その時に試してみて違うようならすぐに帰してやるよ。」
チビだのガキだの本当に失礼しちゃう。そんな私に助けてもらおうとしてるくせに。
「もし……違わなかったら?」
この先を知りたいような知りたくないような。橘さんを助けてあげたいような助けてあげたくないような矛盾した気持ちが心の中でぐるぐる回る。
「違わなければ、とりあえず家まで来てもらう。先の事より俺は今眠りたい。」
「……はあ。」
先の事も大事だと思うけれど、今の彼にはそこまで考える余裕も無いという事か。
背の高い橘さんが早歩きで歩くので、どうしても私は小走りになってしまう。
駐車場に着くと橘さんが向かったのは黒のスポーツカー。
んん?これは2人しか乗れないやつですよね?これだと膝枕したとき周りから丸見えになりません?
私は後ろの座席で見えないように膝枕するのだと思っていたから戸惑ってしまう。
「ほら、早く乗れ。」
橘さんが助手席のドアを開けて私にのるように促してくる。
「ええと、まさかここで……?」
シートを指さして私の思っていることを伝える。私は嫌よ?周りにじろじろ見られながら膝枕なんて。あの時で懲り懲りしたわ。
「ああ、そんなのが気になるならサンシェード付ければいいだろうが、ほら早く乗れ。」
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