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橘さんから連絡が来ない事を、勝手に眠れてるのだと勘違いしていた木曜日。
お風呂を終えて新刊の小説を読みながらうつらうつらとしている時に『ピコン』という音でラインの通知が鳴った。
寝ぼけた瞳を擦りながら見てみると、橘さんからだ。
「今週は土日のどっちが空いているか?」
「土曜なら空いています。眠れていますか?」
「アンタの予定を聞いてるって事は分かるだろ?11時に家まで迎えに来るから。飯食いに連れていくからトレーナーで来ようとか手抜き考えんなよ?」
「……はい。」
残念だわ。これからは思いきり可愛くない格好をしていってやろうと思っていたのに。短いスカートは履くなとか、お洒落は手抜きするなとか彼氏でもないのに注文が多いよ、橘さん。
でも、やっぱり眠れてないんだ。ご飯食べに行ってる時間があったら眠った方が良いんじゃないかしら?
今日行った本屋で見つけた、橘さんの家にあった推理小説のシリーズもの。見つけて手に取って気付いたらレジで会計を済ませていた。
これを読むのは橘さんのアパートでと決めていた。あの橘さんの寝室が本の雰囲気をより感じさせてくれるような気がしたから。
「そういえば次からはリビングでって言ってたわね。あの雰囲気が良かったけれど仕方ないわよね。」
そう呟いて、土曜に持って行く予定のバッグに本を入れた。
あら?もしかして私は橘さんの所に行くのを楽しみにしているのかしら?まさか、そんな訳ないわよね。
私は軽く頭を振って今考えたことを無かった事にした。
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