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土曜の朝、私はアラームではなく何度か鳴るラインの音で目を覚ました。時計を確認するとまだ六時になったばかり。眠らせてよ、せっかくの休日なんだから。
そう思いながらスマホを確認すると送り主は全て橘さん。……そうだとは思ったんだけれど、六時まで待ったって事は橘さんもそれなりに相手の事は考えてるのね。
最初は謝罪。そして命令。その後は……お願いなのかしらね、これは?
「わりぃ、寝不足で運転出来ねえ。駅まで来れるか?」
「起きたら直ぐに来い。」
「ライン位確認してくれよ、チビ。」
何故かしら?何だか……ムズムズするの。橘さんの言葉に身体が拒否反応を起こしているのかしら?
「住所を送ってください。地図アプリを使っていきますから。」
もう…しょうがないな、しょうがないよね?だって橘さんが眠れないんだから。
すぐに来たラインの住所をアプリに入力。うん、駅から徒歩で行けそうね。
「ちょっとだけ時間ください。準備できたらすぐに行きますから。」
「サンキュ。」
わあ、お礼なんて言えるのね?意外だったわ、せっかくだからスクショして保存しておこうかしら?
私は両親が寝てるため静かに一階に降りて、キッチンへと向かい冷蔵庫のドアを開けた。
し、仕方なくよ?仕方なく作ってあげるの。あの調子では外で食事など出来ないだろうから!
誰に言い訳しているのか分からないまま、私は冷蔵庫から材料を取り出し調理に取り掛かった。
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