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「ん~?今日は休日なのに朝から良い匂いがするなあ?」
のんびりした父の声で真剣に混ぜていたポテトサラダから意識が我に返ってきた。え?お父さんが起きてくるって、今何時!?
夢中になり過ぎて時間確認を怠り既に8時過ぎ。今から急いで準備しても家を出るのは9時過ぎちゃう。それから走って駅まで行って乗り換えて……きっと橘さん怒るだろうなあ。
良かれと思ってしたことが裏目に出る。これは意外とドジな自分によくある事。なんだかんだ言って私はお姉ちゃんと中身が似てる。
「旨そうだな。お父さんも食べていいか?」
ニコニコと出来上がった料理を眺めてる父。こうなったらダメもとでお願いしてみる事にする!
「お父さん、料理食べてもいいから私を友達のところまで車で送ってくれない?」
「いいぞ~。透子と違って祥子はあまり料理しないから、ちゃんとお父さんが味見してやろう。」
余計なお世話!確かにお姉ちゃんは料理上手だけど。特に和食が母よりうまくて……
じゃなかった、橘さんをまた忘れるとこだったわ。お弁当箱にさっさと料理を詰めて蓋をする。
お皿をテーブルに出して父に朝食の準備をしてから自室に戻る。父が食べている間に準備を終えなくては。
もう外での食事は必要ないのに、ちゃんと橘さんの言いつけを守って化粧し服を選んでいる私は何なのだろう?
子供の我が儘を聞いてあげている気分になってるのかも?私子供の頃は保育士さんになりたかったからかな?
結局父に車の中で男と会うんじゃないかと何度も確認され、ウンザリしつつ橘さんのアパートの近くで降ろしてもらった。
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