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しっかり読んで本を閉じると、部屋に掛けられている時計は2時17分を指していた。
今回のも素晴らしい推理内容だったわ。主人公の探偵がカッコ良すぎるの。
クールで品があってまるで異国の王子様のよう。五月蠅くて下品な言葉遣いの誰かさんとは大違いだわ。
「ふふふ。でも騎士様だったら似合うかもね?」
騎士だったら少しくらい乱暴な口調でもいいでしょう?勝手な妄想を楽しんでいると橘さんが私の笑い声で目を覚ます。
「……今、何時?」
「二時半です。まだ寝てて大丈夫ですよ?」
「んー?腹減って起きた。」
寝ぼけ眼で私の脚に頭をグリグリする橘さんはちょっと可愛い。ほら、やっぱり母性本能!
「お弁当、作ってきましたけど……?」
何だか照れ臭くて橘さんの顔を見られなくて窓の外の景色を見ながら話す。
「どこ向いて話してんの、アンタ?料理とかするんだ……食べていいなら食わせてもらうけど?」
疑いの目つきで私を下から覗き込む橘さん。これは私の今の態度が疑われているにかしら?それとも私の料理の腕が疑われているのかしら?……気になるわ。
「食べてもらっていいですよ?捨てることになるよりはいいですから。」
本当は捨てるくらいなら全部自分で食べるけれどね。勿体ないお化けが出ちゃう。
「馬鹿なこと言うな。……じゃあ、遠慮なく貰う。」
そう言って起き上がり寝室から出て行く橘さん。私も慌てて着いていく。
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