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「あーあ、新しい出会いでもあるかと思って綿貫君の誘いに乗ったらまさかの子守とはね。ホント、ツイてねえわ。」
橘さんはガリガリと後頭部をかいて、自販機に向かう。
自分ばかりが被害者だと言わんばかりの態度がもの凄く頭にくる!
「私だってアナタが来るって分かっていたら来ませんでした!私だってもっといい人との出会いを期待してんです。」
「なに、チビ。男探してんの?」
ペットボトルのお茶が投げられて慌ててキャッチする。普通に渡すことは出来ないのかしら?
「下品な言い方しないでもらえます?私は私だけの王子様を探してるんです。」
いつか瑞樹君が迎えに来てくれるんだと最近まで信じてた。
「ぶぶっ!王子様ぁ!?アンタやっぱり中身までガキなんだ。」
ほら、やっぱり馬鹿にした。絶対この人とは気が合うことは無いと思う。
「姉も同じことを言ってましたけどね?橘さんは王子様になれなかったみたいですね?」
嫌味を込めて微笑んで見せる。どうだ!これなら悔しいでしょ。
「このガキィ……」
缶珈琲を握る橘さんの右手がブルブルと震えてる。ざまあみろ。
「偉そうな態度取られたって姉にフラれたことは気付いてるんです。しょうがないですよ、瑞樹君は素敵ですから。」
「へえ、じゃあアンタは綿貫君にフラれたんだ?」
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