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恋されちゃって、ああ最悪
「はい?」
橘さんに言われた言葉が理解出来なくて私は首を傾げる。今のはどこからどういう経路をたどってそんな話になっていったのかしら?橘さんからされたキスも告白も、私にとっては予想しないまま受けたデッドボールと変わらない。
「それはOKという意味の「はい」なのか、そうじゃねえのかハッキリしろよ。まあ、どうせアンタの事だから最後に疑問符ついてんだろうけど。」
ちゃんと疑問符付けておきましたよね?告白してすぐに返事しろなんて、橘さんは「待て」も出来ないウチのリズと同レベルなんですか?
しかも何の前置きも無く「付き合え」っておかしくないですか?私は普通相手を好きになってから付き合うと思うんです。相手に枕になって欲しいから付き合うなんていくら橘さんが変人でもあり得ない発言だわ。
「橘さん……付き合うってどういうことか分かってますか?相手と想い合ってそして特別な間柄になる事を言うんです。枕と彼女は違うんですよ?」
私は精一杯丁寧に、いやらしいことしか頭にないような橘さんにもちゃんと分かるように説明した。
「アンタ、俺の事を一体何だと……俺はアンタと違って付き合った経験くらい有るんだよ、分かって言っているに決まってるだろうがっ!経験の有る無しに関係なく、いくら何でも鈍感すぎるだろ?」
分かって言ってるの?尚更意味が分からないわ。だって私は「好き」とも言われていないし、橘さんから好意を持たれる理由なんて無いもの。
「いちいち言葉にしなきゃ分からねえって言いたいのかよ。俺がそういうの苦手だって分かるだろうが。」
イライラとしたような口調で頭をガリガリと掻いている橘さん。髪質柔らかいんだからそんなことしてたら禿ちゃいますよ、と言いたいのをグッと堪えて橘さんの言葉の続きを待つ。
「だからっ……たった今アンタが「好きだ」って自覚したって言ってるんだろうが!」
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